当院では、むし歯や歯周病の予防処置としてエアフロープロフィラキシスマスターを導入しております。エアフロープロフィラキシスマスターを用いたGBT予防治療では、患者様に負担の少ない方法でむし歯の原因となるバイオフィルムを効果的に除去します。
これにより、むし歯や歯周病を予防しやすい環境を整えることができます。GBT予防治療は、子供から大人まで幅広い年齢層に対応できる処置であり、通常の歯のクリーニングに比べてむし歯や歯周病の予防効果が高まることが期待できます。
図:エアフロー
エアフローとは
エアフローとは、特殊な細かいパウダーを歯に吹きかけて、歯を高圧洗浄するクリーニングです。微粒子パウダーを器具の届かない隙間へ吹き付けることができるため、天然の歯、インプラント、修復物・補綴物や矯正装置などの歯肉縁上および縁下からバイオフィルムやステイン、早期歯石を除去し、予知性の高い予防歯科を治療を実現します。
GBT予防治療とは
Guided Biofilm Therapy(GBT)は、このエアフロー技術を用いた、プロによる歯面清掃のバイオフィルム除去を目的とする予防治療です。当院で導入するエアフロープロフィラキシスマスターによってこのGBT予防治療が可能となります。エアフロープロフィラキシスマスターは、ステインやプラークをただ除去するだけでなく、むし歯や歯周病の原因となるバイオフィルムを除去することを可能にした最新のクリーニング機器です。侵襲性を抑え、安全にかつ短時間で治療ができるように設計されています。
従来のクリーニングとGBTの違い
従来のクリーニングや保険適用のクリーニングでは歯の表面を器具で擦るため、見には見えないほどではありますが、歯に傷がついてしまう場合があります。また、その細かい傷が付いている部分に着色やプラークが付きやすくなります。
しかし、GBTによるクリーニングは、特殊なパウダーを機械で吹き付けてバイオフィルムを除去するため、歯や歯ぐきを傷つけることなく痛みもほとんどなくクリーニングを行うことができます。つまり、エアフロープロフィラキシスマスターによる歯面のクリーニングを行うことで、エナメル質表面に傷をつけずにバイオフィルムを除去が可能です。GBTは、矯正治療中や入れ歯、インプラントをしている方、審美治療をしている方、また子どものむし歯予防にも効果があるクリーニングです。
エアフロー技術を用いたGBT治療はさまざまな場面で役立ちます。
健康な歯質の維持
歯や歯ぐきへのダメージを抑えつつ、バイオフィルムを取り除くことを目的にしています。健康な歯でいるためには定期的にバイオフィルムを取り除く必要があります。エアフローは象牙質・セメント質・エナメル質などの歯科組織をできるだけ傷つけず低侵襲で健康を維持していきます。
むし歯や歯周病の予防
バイオフィルムを染め出しして可視化することで除去することが容易になります。エアフローは、歯と歯の間などの細かい隙間にもクリーニングができるため、むし歯や歯周病の予防まで行うことができます。低侵襲なクリーニングのため、大人はもちろん、子どもにも処置することができます。
矯正装置の維持
矯正装置のワイヤーとブラケットなどを隙間や装置を装着しているときは歯磨きがしづらいため、バイオフィルムが溜まりやすくなります。バイオフィルムによってむし歯や歯周病、歯の摩耗などを引き落としやすくなります。GBTによるエアフローは問題の起こりやすい部分の清掃もしやすく、矯正装置を傷つけることなくバイオフィルムを除去できます。
審美補綴やインプラントの保全
審美補綴治療やインプラント治療後は周辺の歯周組織へのダメージと定期的なバイオフィルムを取り除くことで、歯ぐきや歯肉への負担を抑え、審美修復物やインプラントの品質保持による健康の維持ができます。同時に表面に付着するステインや着色汚れの除去をすることできるのもGBTの目的です。
Step1:診査
口腔内の状況確認とプロービングの確認
- むし歯や歯肉炎、歯周炎の確認と歯と歯肉の状態の診査
- インプラント周囲炎や粘膜炎の有無、インプラントの状態を確認
- リステリンなどを用いて洗口する
Step2:染め出し
バイオフィルムを可視化する
- 患者さんに染め出しをされたバイオフィルムを確認していただく
- 染め出しされた部分がバイオフィルム除去の指針になる
- バイオフィルムを除去することで歯石の検知ができるようになる
Step3:情報提供
患者さんの口腔内の意識を高くして指導を行う
- 予防の重要性を知っていただく
- 患者さんに口腔衛生の指導を行う
- 歯ブラシや歯間ブラシ、フロスなどの必要な清掃器具の使用を紹介
Step4:歯肉へのエアフロー
エアフローでバイオフィルムやステイン、歯石の除去や歯面の清掃を行う
- 天然歯や修復物、インプラントにエアフローを使用
- 歯肉縁上と縁下4mm までの歯肉溝に対して平均粒径14μm のプラスパウダーでバイオフィルムを除去する
- エナメル質に残ったステインをパウダーで除去します
- 歯肉からバイオフィルムを除去する
Step5:歯肉へのエアフロー
歯肉縁下4mmから9mmまでの歯周ポケット内にあるバイオフィルムを除去
- 天然歯の深いポケット、根分岐部やインプラント周囲粘膜炎にはエアフローパウダーを使用
- 歯周ポケットの深さの分かるペリオフローノズルの使用
Step6:スマートピエゾンとPSチップ
残っている歯石を除去していきます
- 歯肉縁上および歯肉縁下10mm までは、低侵襲なチップPSを使用します
- 10mm を超えるポケットはミニキュレットを用います
- 審美修復物周囲やインプラントはチップPIを用います
Step7:指差し確認
患者さんを笑顔にしていく
- バイオフィルムの取り残しがないかの最終確認を行う
- 歯石が完全に除去されたかの確認を行う
- むし歯の有無を診断する
- 歯面にフッ素塗布を行い予防する
Step8:次回の予約(リコール)
歯肉の健康=生活の向上
- リスク分析を分析し、次回以降の予防計画を立てる
- 患者さんに治療の評価をしていただく
当院では皆様に定期的な歯科検診をおすすめしています。治療後は予防に取り組んでいただくことで、むし歯や歯周病の予防や抜歯の回避、発症しても早期発見による早期治療ができるためです。軽度のうちは簡単な治療で負担も少なく済みますが、中等度以上になると時間も費用も痛みも変わってきます。そのため、定期的な歯科検診に通っていただくことで再発のない、むし歯や歯周病のない清潔な口腔内を目指しましょう!