歯根露出部位に対して行った、遊離結合組織移植(CTG)による根面被覆術後8年経過症例となります。
主訴 | 歯茎が下がってきてブラッシング時知覚過敏がある |
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処置時年齢・性別 | 37歳 女性 |
処置名 | 遊離結合組織移植(CTG)による根面被覆 |
処置部位 |
上顎左右側切歯、犬歯 下顎左右犬歯、第一小臼歯 |
費用 |
一部位:5万円(税別) 総費用:40万円(税別) |
通院頻度 |
オペ直後〜1ヶ月程度1週間に1回 1ヶ月以降〜 1〜3ヶ月に1回 |
リスク |
・移植片が生着しない可能性がある ・喫煙者は成功率が低下する(この症例は非喫煙者) ・術創が2カ所になる(移植部位、移植片採取部位) ・術後疼痛が1〜2週間程度続くことがある ・術直後、ブラッシングの仕方等留意が必要となる ・知覚過敏症状が生じることがある |
術前・術後
術前について
- 初診時:上顎左右側切歯(2番)、犬歯(3番)、下顎左右犬歯(3番)、第一小臼歯(4番)に歯肉退縮をみとめる。
- Biotype:Maynardの分類Type4、Millerの分類Class1と診断された。
- 上記診断より根面被覆の予知性が高いため、遊離結合組織移植(CTG)を行い根面被覆を行った。
- 術式:上顎右側はModified Langer Technique。それ以外はEnvelope Technique。
術後について
- 遊離結合組織(CTG)により、BiotypeがMaynardの分類Type3に改善された。
- 8年経過しても歯肉退縮の再発はほとんど見られない。
上顎before・after
下顎before・after
Maynardの分類
Maynardの分類は、歯槽骨・歯肉の厚みの状態を分類したもので歯肉退縮のリスクの判定に用いる。
Maynardの分類
Type1:歯槽骨が厚く、歯肉にも十分な厚みがある
Type2:歯槽骨が厚いが、歯肉は薄い
Type3:歯槽骨が薄いが、歯肉には十分な厚みがある
Type4:歯槽骨が薄く、歯肉も薄い
Type1は歯肉退縮はまず起こらない。Type2、Type3は歯肉退縮が起こりづらい。Type4は歯肉退縮が起こりやすい。日本人(特に女性)は、Type4である方が極めて多く、歯肉退縮が生じやすい。遊離結合組織移植(CTG)を行うことにより、Maynardの分類Type4をType3に改善させることができ、歯肉退縮の改善および予防を行うことができる。
Millerの分類
Millerの分類は、歯肉退縮の状態と周囲歯周組織の状態から根面被覆の予知性を評価する分類で、下記2項目で評価する。
- 歯肉退縮が歯肉歯槽粘膜境(Muco Gingival Junction ; MGJ)に達するか否か
- 隣接歯間部の歯槽骨、歯肉の状況、歯の位置異常の状況
Millerの分類
Class1:歯肉退縮がMGJに達しておらず、隣接歯間部の歯槽骨・歯肉喪失、歯の位置異常がない。
Class2:歯肉退縮がMGJに達するまたは超える、隣接歯間部の歯槽骨・歯肉喪失、歯の位置異常がない。
Class3:歯肉退縮がMGJに達するまたは超える、隣接歯間部の歯槽骨・歯肉喪失、歯の位置異常がみられる。
Class4:歯肉退縮がMGJに達するまたは超える、隣接歯間部の歯槽骨・歯肉の著しい喪失、歯の位置異常がみられる。
Class1:完全な根面被覆が期待できる。Class2、3:部分的な根面被覆が期待できる。Class4:根面被覆は期待できない。
全顎治療として、う蝕治療、根管治療・歯周外科(歯肉弁根尖側移動術;APF)・欠損補綴(ブリッジ、インプラント)・全顎補綴;咬合再構築を行いました。
before・after(術後7年経過)
主訴 | 全体的になんとかしてほしい |
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処置内容 |
・APF:9歯、MWF:12歯 ・部分矯正(LOT):3歯 ・インプラント:2歯 ・自家歯牙移植:1歯 ・審美補綴(セラミック)14歯 |
治療期間 | 2年2ヶ月(26ヶ月) |
通院頻度 |
1〜2週間に1回程度(処置時) 1ヶ月に1回程度(回復期、経過観察時) |
費用(税別) |
・APF:27万円 MWF:12万円 ・部分矯正:5万円 ・インプラント:54万円(2本) ・自家歯牙移植:3万円 ・審美補綴(セラミック)14歯:126万円 ・総額230万円 |
術前
術後7年経過
術前所見、治療計画
- 全顎的に歯肉縁下に及ぶう蝕、根尖病変を認める。
- 全顎的に歯肉縁下歯石、中程度歯周病に罹患している。
治療方針
- ブラッシング、歯周病基本治療に対するモチベーションの向上。
- 可及的にう蝕を除去し、1stプロビジョナルレストレーレション(仮歯)による咬合再建。
- 歯肉縁下う蝕に対し、歯周外科処置(歯肉弁根尖側移動術;APF、骨外科処置)を行い歯肉縁上での処置を可能とさせる。
- 下顎に対して歯周外科処置(MWF;Modified Widman Flap)改良型ウィドマンフラップ術を行い、歯周ポケットの減少を図る。
- 位置異常の歯に対して部分矯正(LOT;Local Orthodontic Treatment)を行う。
- 徹底的にう蝕を除去し、2ndプロビジョナルレストレーションに置換し、根管治療も開始。
- 欠損部にインプラントを埋入、左下第2大臼歯を左下第1大臼歯の位置に自家歯牙移植。
- 歯肉の十分な回復を待ちFinalプロビジョナルレストレーションに置換する。
- 咬合状態を確認し最終補綴物を装着する。
術後7年経過時所見
- 現在でも、6ヶ月以内に一度以上は定期診査に通院される。口腔清掃状況も問題なく。モチベーションは高い状態を維持している。
- 歯肉弁根尖側移動術(APF)を行なったため、十分な厚みの角化歯肉が存在するため、7年経過しても歯肉退縮はほぼ認められない(Maynardの分類参照)。
- インプラント部位においても、骨吸収など認めず、経過良好。
主訴 | 被せ物が取れてしまった |
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処置名 | 矯正的挺出(エクストリュージョン)、APF(歯肉弁根尖側移動術) |
初診時年齢 | 54歳 |
診断 | う蝕3度(感染根管)、歯肉縁下う蝕 |
来院頻度 | 4〜8週間に1度 |
治療期間 | 矯正的挺出(3ヶ月挺出、3ヶ月固定)・APF6ヶ月 |
費用の目安 | 歯1本あたり5〜7万円程度 |
リスク |
・臨床歯根(骨に埋まっている歯根)の量が減少する ・歯牙の動揺度が大きくなることがある ・外科的な侵襲が体に加わることとなる ・歯冠高径が大きくなることがある |
状況
被せ物が取れてしまい、歯肉の上に健康な歯がない状態。この状態で補綴を行なっても、再度脱落したり、歯根破折を招いたり再度う蝕になるリスク、慢性的な歯肉炎を起こすリスクが非常に高い。さらにブリッジの支台となるため、通常の単独の歯よりも力がかかるため、そのリスクはさらに上がる。
治療1
仮歯を入れて、裏側からワイヤーを通し、ゴムで牽引(矯正学的挺出)を行う。矯正学的挺出を行うことにより、その歯牙周囲の歯槽骨および歯肉も一緒に挺出してくる。 それを改善させる目的、歯肉縁上に適切な健康歯牙を露出させる目的、歯周組織の生物学的幅径獲得、歯周ポケット除去のためにAPFを行う。
結果
治癒後歯肉縁上に十分な量の健全歯質を得ることができた。
リグロス単体で垂直性骨吸収が改善した6年6ヶ月経過症例となります。
主訴 | 歯周病の改善を図りたい |
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処置時年齢 | 49歳 女性 |
処置名 |
歯肉剥離掻把術(フラップ手術) リグロス併用 人工骨未使用 |
処置費用 | 健康保険適用 |
通院頻度 |
オペ直後〜1ヶ月:1〜2週間に1回程度 オペ後1ヶ月〜6ヶ月:1〜2ヶ月に1回程度 オペ後6ヶ月以降:3〜6ヶ月に1回 |
リスク |
・術後疼痛、出血、腫れが生じる ・術後、念入りなブラッシングが必要となる ・術後しばらくの間知覚過敏症状が出現することがある ・喫煙者の場合、成功率が低下する ・術後、噛み合わせの調整(咬合調整)が必要になることがある ・術後、修復物・補綴物をやりかえなければならないことがある |
診断日:2016年11月18日
左下第一大臼歯近心に大きな垂直性骨吸収を認める
術後:術後4ヶ月~20ヶ月
オペは2016年12月5日に実施。
左側:2017年4月9日 術後4ヶ月
中央:2018年5月28日 術後17ヶ月(1年5ヶ月)
右側:2018年8月21日 術後20ヶ月(1年8ヶ月)
術後:2年~2年8ヶ月
左側:2018年12月3日 術後24ヶ月(2年)垂直性骨吸収はほぼ消失
中央:2019年4月8日 術後28ヶ月(2年4ヶ月)垂直性骨吸収部にできた、新生骨の骨密度が上がってきている
右側:2019年7月29日 術後31ヶ月(2年8ヶ月)
術後:術後78ヶ月(6年6ヶ月)
2023年6月7日 術後78ヶ月(6年6ヶ月)
垂直性骨吸収の再発も無く良好な状態を維持している
Er:YAG(エルビウム・ヤグ)レーザーによる、歯肉メラニン除去(ガムピーリング)の症例となります。
主訴 | 歯肉の色が気になる |
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処置名 | 歯肉メラニン色素沈着除去/使用機材|Er:YAG(エルビウム・ヤグ)レーザー(20pps 50mJ)C400Fチップ |
初診時年齢 | 35歳 |
診断 | 歯肉メラニン色素沈着 |
来院頻度 | 2週間に3度の来院 |
治療期間 | 2週間 |
費用の目安 | 3万円程度 |
リスク |
・施術当日は歯肉がヒリヒリ痛むことがある ・2、3日、辛いもの、酸っぱいもで歯茎がしみることがある |
術前・ 術後
初診時
施術直後
施術2日後
さらに範囲を広げて
上写真から1週間
下歯茎施術
左写真から1週間